何を・誰に・どこで売る?
前回、「Facebookのビジネス成果は既に企業戦略で決まっている」の記事で、そもその企業経営に戦略がなければ、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアのビジネス活用の成果はありえないことを、炎天下の夏祭りでどちらを売るか?という事例を元に説明しました。
今回は、もう少し詳しく、戦略とは何かを考えてみましょう。
戦略の選択とは
まず、竹田陽一先生のランチェスター経営では、経営戦略を下記の通りに8つに分けます。
この中で真っ先に重要なるのが、商品戦略・地域戦略・客層戦略、三つの戦略です。これは分かりやすく言い換えると、
- 何を:商品戦略
- どこで:地域戦略
- 誰に:客層戦略
ということです。
おでんを振り返る
さて、ここで、おでんを炎天下で売ろうとしている、お店の状況が下記の通りであると仮定します。
[状況]
寒い冬には人気のアツアツおでん屋さん。しかし、夏は売り上げが著しく下がる為、なんらかの形で売上の穴埋めをしたい。今回、観光客の多い地元の夏祭りに出店を検討している。
前回にも説明した、炎天下の夏祭りで、アツアツのおでんを売る行為を、この3つの戦略に落としこむと、こうなります。
ここで重要なことは、おでんが売れないのは商品に魅力がないからではないということ。商品・地域・客層に整合性がとれていないから、売れないだけです。つまり、どれかの戦略を変更して、整合すれば売れるのです。
まずは、売る場所が炎天下の夏祭りと決まっている。この場合は、地域と客層を変えずに、商品戦略を売れるものに変えます。
確かにこうなると売れそうです。しかし、簡単にそうとも言えません。
今回は人気の夏祭り。他にも出店する露店が多数あるので、無難な売れ筋商品であるかき氷は競合する可能性が高い。その場合、出店した場所が有利なのか。他店よりも値段は低く、安売り競争で勝てるか。という話になってしまいます。
また、出店者は、元来はおでん屋さんですから、売れるだけではなくて、知名度を上げ、冬からの集客にも繋げたい所。
そこで、「夏のおでん」の新商品を開発します。
おでんアイス…。かなり買うのに勇気の必要な商品ですが、顧客の好奇心を惹くことには間違いありません。
後は、おでんアイスを買って頂くために、販売促進を考えるべきです。露天の展示方法を工夫し、お客さんへの営業トークもきちんと考えるなど。売るための戦術を適切に選択し、更に戦術を磨けば、他の出店者と競合せず、大注目の露天として高い売上を立てる可能性もあるでしょう。
地域と客層を変える
しかし、今回、おでんという商品へ強い思い入れがあって、たとえ売れない夏であろうと、自慢の熱々のおでんを売りたい!という職人気質な店長かもしれません。その場合、商品はそのままにして買ってくれる地域と客層を変えるという選択肢もあります。
例えば、日本は炎天下の真夏でも、地球の南半球は真冬。そう考えと、こんな戦略もあります。
これで戦略的には間違っていません。しかし、現地での知名度の向上と、ネットショップ展開を含んだ、海外への新しい販路の確立など、顧客作りをすべてゼロから行わなければなりませんので、事業が安定するまでのハードルは高いものになります。
商品・地域・客層の三つ戦略から考えると、商品戦略を変えて既存の顧客に売るよりも、商品を変えずに、地域・客層戦略が変わる、新規顧客に売ることの方が、時間・労力・コストが掛かることは覚えておきましょう。
戦略のミスは戦術で補えない
冒頭に述べましたが、戦略が間違っていると、FacebookだろうがTwitterだろうが、どんな優れた戦術をもちいても、結果を出すことができません。また、戦略が間違っていれば、高いお金で二泊三日の営業マン研修を受けても、豪華な商品パンフレットを作っても、結果を出すことはできません。
もしあなたが、ビジネスの決定権をもつ経営者、もしくはそれに準ずる立場であれば、何よりも磨かなければいけないのは、経営の戦略能力という、企業の土台構築を行う能力です。
Facebookも活用して、何千万・何億円という圧倒的な売上を出している大社長たちも、その土台があるが故の、大成功なのです。
まずは、商品・地域・客層戦略が、きちんと整合性がとれているのか、再確認される事をお勧めします。
今回のまとめ まずは商品・地域・客層戦略を考える
戦略初心者は竹田陽一先生の入門書から勉強を!