Facebook以前に大切なこと
中小企業がFacebookなどのソーシャルメディアで成果を出すためには、Facebook以前に大切なことがある。これは常に、このブログや各地のセミナーで、経営者の方々に語り続けていることです。
では、何が大切で、それをどう行うべきなのか。少し長文になりますが、しっかりと解説していきます。
自分の会社を変えたいと、真剣に考えている社長さんは、ぜひ最後まで一読ください。
経営の実行手順のウェイト付け
竹田陽一先生のランチェスター経営には、経営の実行手順のウェイト付けが明確に示されています。
- 社長の願望・熱意・向上心 53%
- 目的・目標・情報・革新 27%
- 戦略、仕組み、教育・訓練 13%
- 戦術 7%
まず、ベースには経営者にビジネスへの飽くなき情熱が無ければ、まず話にならない。
その上に、明確な目的・目標により、達成すべきゴールと、目指す方向性を定める。
その上に、それを実現化するための戦略(見えざるもの)と、継続する為の仕組み作りと、スタッフのベース作りの教育訓練。
その上に、具体的な繰り返し作業である戦術(見えるもの)が、実施される。
Facebookなどのソーシャルメディアは、戦略から戦術に至る流れで出てくる、戦術の一つでしかなく、経営の中で大したウェイトを担っていません。
実施策の手順
ランチェスター経営の経営の実行手順のウェイト付けにもとづいて、実施すべき、ワーク形式の戦略策定と、重要な戦術に加え、ソーシャル系の戦術の流れを割り振った、はちえん。の事業再構築モデルはこうなります。
はちえん。のモデルの特徴は、中小企業・個人事業主の経営者にAISASやSIPS、3C分析など、小難しいマーケティング理論ではなく、分かりやすい経営の原理原則を習得し、実施して貰うことです。
元来、専門性の高いマーケティング理論も、じっくりとマスターされた方が良いのです。
しかし、もはや3年後には、世の中がどうなっているか分からない、人類が初めて体験する、最も高速な時代変化の中で、経営者の基礎作りを悠長にやっている時間もありません。
実際、3年後、あなたの会社の経営環境、および日本経済そのものが、どんな形になっているのか、想像できますか?
よって、半年から1年以内で経営者の腹に落ちて消化できる、簡素かつ明瞭な経営の原理を、早期に習得する必要があります。
併せて、元来、ソーシャルメディア戦術は、実行手順としては相当後ろになります。しかし、ソーシャルメディアに取り掛かる頃には、すでに先駆けていた同業他社に自社のポジションも奪われていたのでは、意味がありません。
ソーシャルメディアも含めつつ、そもそも大前提である経営の原理原則を学んで、実践する。スピード感のある、ビジネスモデルの再構築と実行が、2012年の今、必要です。
やるべき順番とは
それでは実際に施策を行うべき順番と、その内容の簡単な解説をしていきます。
経営者の原点確認
「なぜ、あなたは今の会社をやっているのか?」
まずは社長であるあなたが、自分の原点の再確認をして、自身の願望・熱意・向上心を、常に自身で沸き立たせる志の源泉を確保すること。
これはA4一枚の簡単なワークから導き出します。詳細はこちらのブログをご参考ください。
スタッフの原点確認
ビジネスに対する願望や熱意などの源泉が、最も必要なのは経営者ですが、当然、組織内の全てのスタッフにも、その有無が、企業の命運を左右します。
経営者の原点確認で行ったワークを、組織内で社員を含めて行うことで、それぞれのスタッフが独自に持つ仕事への願望や熱意を見い出し、同時に企業(社長)の願望・熱意の、根底部分にある同調点を確認します。
また、スタッフ同士もワークを行うことにより、組織内の連帯感を深めるきっかけとします。
こういった空気作りにより、ここから展開していく、企業変革へのスタッフの当事者意識を高めます。
生涯顧客価値の追求
ソーシャルメディア運用が失敗する原因は、戦略や戦術面のミスよりも、経営者とスタッフの事業意識への温度差がありすぎることです。一部の人たちだけ燃えているが、周りがそれについてこない。これはソーシャルメディアに限らず、失敗するパターンとして、よく見られることです。
そもそもビジネスの根底にある、顧客作りの深層である「生涯顧客価値」という認識を、共通化することが、ソーシャルメディア含めて、すべての戦略と戦術を実行するために必要です。
障害価値についてはこちらのブログをご参考ください。
ランチェスター経営
竹田陽一先生が説く、ランチェスター経営では、経営戦略を下記の8つの要素に分けています。
左にある「商品戦略」「地域戦略」「客層戦略」から「営業戦略」「顧客維持戦略」を策定し、その実施に「組織戦略」「財務戦略」「時間戦略」が必要となります。
経営者にとって、ランチェスター経営は学ぶべき必修科目ですが、戦略体系の全体を習得するには、時間も掛かります。やるべき順番をクリアしながら、ランチェスターの経営への考え方もしっかりと習得することが大切でしょう。
竹田陽一先生のランチェスター経営の本は沢山ありますが、入門書としては、下記が最適でしょう。
A4一枚アンケート
「売上や利益が増えない」「新規顧客が獲得できない」
そんな悩みを持つ、個人事業主、中小企業経営者に向けて、たった「A4」1枚アンケートを顧客に行うことで、誰もが簡単に売れるようになるチラシホームページが作れる。 これが国内でも売れっ子の販促コンサルタント、岡本達彦先生が提唱している「A4」1枚アンケートです。
今迄に、私も企業戦略を立案するセミナーや研修に何本も参加して、参加者の中小企業の経営者が、きちんと戦略が描けずに研修が終わってしまう現状を、よく見ました。そもそも、戦略実力が至らないから、あまり儲かっていない現状があり、そこでいきなり戦略構築のワークをやっても、直ぐには上手くいかないのですね。
そして、戦略実力とは、売れる答えを導き出す力なので、それが足らなければ、最初から売れる答えを知っている、自分のお客様に答えを聞いた方が、確実に売れる戦略を構築できるのです。
更には、経営者も、一度、売れる正解に辿り着くことで、戦略実力を身に付けるスピードが早まります。
尚、A4一枚アンケートでは、お客様から下記の答えを得ます。
- お客様がどこから来て
- お客様が何に悩んでいて
- 買うまでに、足踏みするのはどこで
- なぜ自社の商品を買ってくれて
- 使ってみて、自社の商品のどこか魅力なのか
この答えは、ソーシャルメディアの戦術も含めて、企業の総合戦略の策定に必要な答えなので、必ず実施するべきです。
尚、岡本達彦先生のA4一枚アンケートについては、下記の本を参考にしてください。
三方よし
ここからは、ソーシャルメディア時代の事業構築の3つの理を、一つの商道に収める「三理一商」を用います。
まず最初に来るのは、三理一商の一つ。古くから近江商人の教えとして伝わる「三方よし」です。
ソーシャルメディア時代とは、FacebookやTwitterなどで、いいビジネスモデルは短期に評価され、悪いビジネスモデルは瞬時で酷評される、そんな時代です。
買い手よし、売り手よし、世間よし。近江商人の教えでもある、三方よしのビジネスモデルの在り方は、今だからこそ、戦略面でも、会社の大きな目的・目標面でも必要となります。
更に、三方よしは企業で、経営者を中心として、全社的な認識にする必要があります。
三方よしについてはこちらのブログをご参考ください。
天地一道
次に来るのは、三理一商の一つ。「天地一道」
顧客に気付かれ、顧客の信頼を獲得し、顧客に購入してもらう。この「儲かる流れ」の道をきちんと作る、戦略立案が天地一道。
従来のリアルで行っている戦術と、ソーシャルメディアを含めて欠かせないインターネットを使った戦術。実際に、今、用いている戦術を当て嵌めて、道が出来ているかを確かめ、出来ていなければ、その不足部分の戦術を強化するか、新設して、戦略を完成させます。
ここは「戦略」のパートにあたり、経営者と経営幹部、及び担当部署のスタッフが参画することになります。
天地一道についてはこちらのブログをご参考ください。
天地循環
次に来るのは、三理一商の一つ。「天地循環」
企業、および商品サービスに「人の想い」が求められるのが、ソーシャルメディア時代。
戦術を「個人性・事業性」および「インターネット・リアル」の2軸4面の全てに振り分け、どの側面から入っても、全ての面を循環し、短期で「精神性・事業性」の両面で信頼を得るための戦術配置です。
「天地循環」と「天地一道」は表裏一体ですので、同時に検討を行うことになります。
Facebookは氷山の一角
ここまできて、やっと俗に世の中で言う、ソーシャルメディア構築・運用の話になります。
如何にFacebookをやる前に、見直さなければいけない経営の基礎が、見えない所で根深く埋まっていることに、お気付き頂けたかと思います。
私のクライアントの含めて、Facebookをやりだして、桁違いの成功を収めたように見える経営者は、実は見えない経営の基礎をきちんと確立しているからこそ、成功している。それが殆どです。
株式会社はちえん。では、売り上げの向上だけではなく、変化スピードが急激なソーシャル時代にも生き残り、企業そのものを革新していきたい経営者同士が学び、実践できる、少人数制の勉強会の全国展開を行う予定です。 その実施については、各地で開催の協力者とともに、ご案内をしますので、それをお待ちください。
また、それまでの間は今回提示した、各工程をお取り組みください。
あらゆるものが数年で変わる時代の戦略は、硬直化した剛ではなく、変化に対応する柔。しかし、その根底にあるのは、だれにも負けることもない、経営者の剛たる志です。
是非、頑張りましょう!
今回のまとめ 早急に経営者としての基礎作りに取り掛かる