Facebookで儲かる方法を教えてほしい
全国でセミナー講師に呼ばれて、経営者や自営業の方から、よくある質問がこれ。
「Facebookだけで儲かる方法なんてありません。」
はっきり答えると、ガッカリされるのが日常茶飯事だったりします…
Facebookだけでなんとなる、と期待している社長ほど、Facebook活用による成果は程遠いのが、私の実感。
中小企業からFacebookで相談があると聞いて伺うと、殆どが経営戦略のアドバイスになって、Facebookの話は刺身のツマ程度しかしない事も日常茶飯事です。
今回は、そもそも企業が売上をあげて利益を出す為に、Facebookをやる以前に、もっと大切な原則を書きます。
儲かっている企業は流れを持っている
この図は、よく一緒に名古屋で仕事をさせて頂く、ガラパゴスワークスの大平佳宏先生の提唱する「ビジネスモデル構築マップ」です。簡単に説明を書きます。
【横軸】
- ネット→インターネットで行う戦術
- リアル→現実社会で行う戦術
【縦軸】
- サーチ→お客様に気付いて貰う為の戦術
- ウォッチ→お客様との信頼関係を深める為の戦術
- キャッチ→実際にお客様に購入・成約をして貰う為の戦術
ちなみに大平先生の「ビジネスモデル構築マップ」は、とても簡単にビジネスモデルの検証ができる優れ物で、AIDMAやAISASなど、いまいちピンとこないマーケティング理論よりも、中小企業の社長さん方には遥かに実用的。私もセミナーや研修でよく使います。
何をするかといえば、左の入り口から入って、右の出口に向かう、流れを見るマップです。実際に、ビジネスは「人の流れ=お金の流れ」が必要なので、これは当たり前のことなんですよね。
そして、儲かっている企業は、この流れが絶え間なく出来ているのです。
左上の「サーチ-ネット」のスタートから入って、ステップを踏みながら、「キャッチーリアル」のゴールに流れる。これが儲かる企業の流れの一例です。尚、リアルな商売はゴールが「キャッチーリアル」ですが、ネットショップなどは「キャッチーネット」がゴールになります。
注意して貰いたいのは、Facebookは信頼関係を深めるウォッチの役割は果たしても、実際に売る段階のキャッチの役割は果たしません。それなのに、売ろうとしてファンに嫌われ、多くの反応の無い墓場のような裏寂れたFacebookページが出来てしまいます。
【参考:Facebookページはオマケ。企業が知るべきファンの本音】
また、Facebookでは、新たな見込み顧客を生む、サーチの役割も果たしません。
確かに、既存のファンの方々との交流が深まって、いいね!やコメントを貰う事で、そのファンの友達が巻き込まれる事はあります。しかし、これはウォッチ段階での信頼関係の構築を行う事で発生する副産物であり、それを蔑ろにして、新規顧客の獲得に躍起になるのは、全くのナンセンスです。
とはいえ、Facebookでサーチ段階の活動をする方法が無いわけではなく、有料にはなりますが、地域・年齢・性別などをしっかりと絞って、Facebook広告をピンポイントに打つことで、多少はサーチの役割に寄与する事は可能です。
いずれにしても、Facebook活用で成果が出ていると見られている企業の殆どは、Facebookだけで儲かっているわけでは無いのです。Facebook以外の流れを作る戦術が、きちんと配置されることで、初めて成果が出ているのです。
Facebook以前をやる以前に
次に、「Facebookで儲けたい!」という相談をされる中小企業の典型的パターンが下記。
こんな感じで、サーチとキャッチの戦術が弱い。若しくは、無いことも珍しくありません。それも当然で、サーチからキャッチに至る流れが出来ていないから、現状として儲からないのです。
そして、色々な相談を受けた中、サーチ・ウォッチ・キャチの三段階で、実は一番の問題が多いのは「キャッチ」です。きちんとした、購入・成約に至る、キャッシュポイントが出来ていない。これは、ビジネスモデルの中でも最も致命的なので、真っ先に改善すベきです。
次に、問題が多いのが「サーチ」で、新しい見込み顧客に気付いて貰う戦術が弱い。別に大金を掛けろとは言いませんが、適切な予算を組んで、対費用効果に見合う販売促進を行うべきですし、その為に経営者と営業責任者は、しっかり販売戦略の勉強もするべきです。
そして、最後にやっと、Facebookが入る「ウォッチ」の段階が来るくらいの話で、中小企業は、Facebookをやる以前に考えなければならないことが多いのです。
なのに、「Facebookで儲かる」という声高な人の言動に惑わされる人が出てしまうのですが、決して、Facebookだけで儲かることはありません。Facebookは戦術の組み合わせの選択肢として考える、ツールの一つであるだけです。
自分のビジネスの流れを確認する
もし、あなたがFacebookを活用して、今のビジネスの成果をあげたいと考えるのであれば、今直ぐ、不要なA4用紙に、上記の様なビジネスモデル構築マップを定規で線を引いて作り、実際に現時点で行なっている「成果の出ている戦術」を全て拾い上げて配置してみましょう。そうすると、「成果の出ている戦術」で、サーチからキャッチまでの流れが出来ていないことが自覚できる筈です。
次に実施しているが「成果の出ていない戦術」もマップに加えた上で、サーチからキャッチの流れを作る、下記の2点を検討しなければなりません。
- 流れを止めているエリアの成果の出ていない戦術をどう見直せば、成果を出すものになるか
- まったく流れが無いエリアに、新しく配置すべき戦術は何か
これを検討した上で、ゴールまできちんと流れる、経営戦略としてまとめて、きちんと徹底して実行をすれば、どんなFacebookセミナーに出るよりも、遥かに成果が上がります。
成果がなければ変化させる
今回、ご紹介した大平先生のビジネスモデル構築マップが優れているのは、紙と鉛筆があれば直ぐにできる、3×2のマス目からなる簡単な構造である事。もし戦略を練って望んだ成果が得られなかった場合や、成果が著しく悪くなった戦術があれば、それ入れ替えてビジネスモデルの再検討が容易です。
既に、色々な世の中のビジネスモデルの多くが、下手をすると数年もたない短期間で崩壊・縮小するスピードの早い世の中です。自分のビジネスの原点はしっかりと持った上で、業界や世の中の流れを捉え、時代の変化に合わせたビジネスモデルに変化させなければなりません。
大きな流れには呑まれずに、自分の意思で乗りこなすのが大事。世界も国内も激動の荒波ばかりの昨今、戦術とツールは上手に使って乗りこなし、個人も企業も生き残っていきましょう。
[動画でも解説しています]
今回のまとめ サーチ・ウォッチ・キャッチを早急に見直そう