誰でも友達承認は危険極まりない
ここ最近、人脈を広げるためなら、Facebookの規約違反でも、見知らぬ人に友達リクエストを送ったり、承認すればいいという、無責任なソーシャルメディアコンサルタントの人がいるようです。
それを真に受けて、いまだに見知らぬ人への友達リクエストをじゃんじゃんと送りつける人も後を立ちません。それを何も考えずに友達承認してしまう人もいます。
多くの個人情報が記録されているFacebookなどのソーシャルネットワークで、無条件に友達リクエストを承認して、個人情報や投稿内容が漏れると、どんな恐ろしい目に遭う可能性があるのか、考えすぎというほど、万に一つの危険性も含めて、考えてみました。
恐ろしすぎる4つのリスク
事前に書いておきますが。これは実際に起きたという話ではなく、あくまで可能性のお話。しかし、無い話とは言えません…
リスク1 名簿として売られる可能性
善良な市民の方々には知らない人も多数あるようですが、世間では様々な名簿が売買されています。学校の卒業生名簿はもちろん、医師会の名簿、経営者の名簿、健康食品の購入者の名簿などなど。そのあたりの実態は、「名簿 販売」というキーワードで、google 検索をして頂ければ、よくわかると思います。
さて、これらの名簿を購入する側は何を考えているかというと、ダイレクトメールや直接の電話営業など、成約率の高い顧客をピンポイントで狙う、貴重な材料なのです。
また、これは名簿の購入者は、正当な事業者もあれば、詐欺スレスレ、もしくは詐欺そのものである危ない業者も購入する場合があります。
さて、Facebookですが、個人名は勿論、生年月日、電話番号、住所、メールアドレスなど、名簿購入者が涎ものの個人情報が満載です。実際に、ダミーのアカウント作って沢山の友達リクエストを送り、友達承認を受けて、個人情報を引き抜くことで、一例としてこんな名簿を作ることだって出来ます。
- 地元名門校の卒業者名簿
- 上場企業の勤務者名簿
- 30代以上の未婚者名簿
また、今までの名簿は、連絡が取れない電話番号やメールアドレス等、死んでいるデータが多くありました。例えば、卒業者名簿を例にとると、入手しても、卒業から何十年も経っていれば、住所も電話番号も連絡が取れないデッドデータだらけです。
しかし、Facebookでは学校名と、実際に連絡取れる、生きている携帯電話番号やメールアドレスなどが満載なのです。それが、データ化されて世間に出回ったら、どんな使われ方をするかは、分かったものではありません。
ちなみに法律の要件を満たせば、名簿の売買は合法です。(参考:国民生活センターのQ&A) 。
また、Facebookなどで、ダミーアカウントを使ってデータを抜く行為は、個人情報保護法の第十七条に触れる気もします。
第17条 個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない
しかし、利用事業者の個人情報の取り扱いが5,000件未満であれば、この個人情報保護法の適用にすらならない、という事実も知らない消費者も多いでしょう…(詳しくはwikiをご参考に)
いずれにしても適法だろうが違法だろうが、一度漏れた情報は取り返しがつかず、勝手に世間に出回るものと覚悟すべきです。
リスク2 IDとパスワードを悪用される可能性
FacebookやTwitterやgoogle+などのソーシャルメディアや、Yahoo!や楽天市場やamazonなどの他のネットショップの登録メールアドレスを同じ物を使っていて、尚且つ、名前のローマ字綴りや生年月日の組み合わせなど、個人情報から推測される一つのパスワードで統一している場合は、危険極まりないです。
友達となり、使用メールアドレスと、生年月日などの個人情報を取得。いずれかのサービスで、メールアドレスと、個人情報から推測されるパスワードの組み合わせを試して、いずれかがヒットすれば、他のサービスも同じくIDとパスワードが使えます。
そうすれば、メッセージのやり取りなどのデータの抜き出し。悪質ななりすまし。ネットショップでの高額商品や大型商品の誤注文。突然のアカウント削除など、大抵の迷惑行為が可能です。
少なくとも、使うサービス毎にパスワードは変更すると共に、そのパスワードは個人情報から推測できないランダムなものに変更するべきでしょう。
リスク3 悪意ある人に嵌められる可能性
自分の趣味嗜好や言動を公開することで、同好の友達から共感が得られるのがソーシャルネットワークの利点。しかし、これを友達でない人。特に、悪意をもって、あなたを陥れようとしている人に公開している状況は、危険極まりないです。
例えば、ソーシャルメディアの言動を見て、女性にだらし無い男性を陥れようと思えば、その人の言動や投稿する写真などから、女性の趣味を判断が判断できます。更に、いつどこに呑みに行くなど、行動予定も把握すれば、美人局的な罠に陥れることは簡単でしょう。
その他、賭博や金銭欲など、対象者が警戒心を解いて気を許してしまう、付け入る隙が多い嗜好と、行動予定が明確に分かれば、悪い人にとっては、これほど容易い事はありません。
ちなみに、そんな罠にかけられるのは、有名人や経営者などお金を持っている人だけで、自分には無縁だとお思いかもしれません。
しかし、あなたが取り扱っている、決裁権や業務上のデータや、人的な繋がりなど、あなたを嵌める価値があるかどうかは、あなたではなく、嵌める側の判断であることを忘れるべきではありません。
リスク4 子供が連れ去られる可能性
Facebook などで、自分の子供の写真を、わざわざ名前付きでアップされる人が多いですが、これも本当の友達以外に公開するのは危険です。
自宅の住所を広く公開するのは論外ですが、それを公開しないにしても、よく行く買い物先や、近所の公園で撮った写真などをチェックイン情報付きでアップしようものなら、それらのヒントから、子供の学区は推測できます。
そうして、学校を絞り込んだ上で、下校する生徒をチェックして、それらしい子供を発見したら、子供を尾行して自宅を割り出す事もできるでしょう。これだけでも、十分に気味が悪いですよね…
また、その子供の名前で呼びかけて、お父さんの会社の者だがお父さんが倒れたと偽り、子供を車に乗せて連れ去ることだってできます…
万が一とは言え、あなたがうっかり発信していた情報が元で、家族に危害が加わることになれば、悔やんでも悔やみきれないでしょう。
危険を齎さない4つのポイント
かなり恐ろしい可能性ばかり書いてきましたが、私が言いたいのは、ソーシャルネットワークを使うなという話ではなくて、適切に使うべきであるということです。
今回のようなリスクを避けつつ、ソーシャルネットワークのメリットを得る為の四つのポイント書きます。
一.データと投稿内容に公私の区別をつける
ソーシャルネットワーク上のプロフィールのデータと投稿する内容は、どこまでが広がっても構わない公の情報で、どこからが友達に限定するプライベートな情報なのか。その公私の区別を明確に決めておくことです。
例えば、公的な内容とは名刺に記載している事柄です。そもそも、名刺は交換したが最後、記載してある情報が、どう取り扱われるかは制御できません。
ソーシャルネットワーク上で、広く公開する情報も制御できないことを前提に、逆にどこまでを公開するのかを、きちんと区別しておくべきです。
そして私的な情報は、本当に信頼出来る友達に限定して投稿するべきです。
二.信頼できない人を友達しない
これはFacebookに特に顕著ですが、何が目的で近づいてくるのか分からない人の友達リクエストを承認するのは、前述のように、ハイリスクすぎます。
あなたがFacebookを使う目的が、本当の友達や遠く離れた親戚との温かい交流でであれば、絶対に1人たりとも、信頼できない友達は作るべきではありません。
また、以前にブログ記事「Facebook 初心者さん向け。なぜスパムアプリが恐ろしいか」で書きましたが、セキュリティへの意識が低い友達と繋がると、あなたが漏らしていなのに、その友達から個人情報が漏れる危険性があります。このパターンは、やたらと友達リクエストを送ってくるような節操のない人が、Facebookでスパムアプリに感染して、もれる場合も多いようです。
そういった観点からも、信頼できない人とは友達になるべきではありません。
三.プライバシー設定をしっかり行う
大抵のソーシャルネットワークでは、個人情報や投稿内容を、誰にどこまで公開するのか、きちんと設定が出来るようになっています。
Facebookでいうと、「プライバシー設定」が、そこにあたります。全ての設定を確認した上で、自分にとって最適なプライバシー設定を行ってください。
関連資料
四.家族の写真などは親友と親戚に限定
特に自分の子供など、家族の名前や写真などは投稿しないのがベストですが、自分の親友や友達と、それを共有したいのであれば、Facebookであれば、リスト機能やグループ機能などを使って、公開範囲を厳密に設定するべきです。
リスクはコントロールしよう
ここまで初心者の方には、怖い事ばかりを書いてきましたが、Facebookを始めとするソーシャルネットワークは、きちんと使えば、数十年ぶりの親友と再会し交流を深めたり、全国バラバラになっている親兄弟とも温かく交流し、喜びを共有できる素晴らしいツールです。
参考:日本のFacebookに必要な小さなコミュニティ
あなたが、それを最大限に活用する為には、自分が管理出来る範囲内でつながりを構築し、リスクの無い運用をすることが肝要です。
まずはあなたが、しっかりとリスクを知った上で運用する事で、大切な人を守りつつ、親友や知人と有意義な交流を楽しみましょう。
今回のまとめ リスクも理解して、最良の運用を行う