日本でも死傷者が出る?アイスバケツチャレンジの手法に反対


氷水

最初に誤解なきように

Facebookやtwitterのみならず、新聞テレビでも話題の「アイスバケツチャレンジ」の手法には、安全上の重大な問題があるので、反対します。
但し、以下の点は、誤解をなされないように。

  • 難病である、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の啓蒙と研究の支援集めは良いことです。これから書くのは、そこに問題は無く、手法に問題があるという事です
  • 私の周りでもアイスバケツチャレンジをやっている人がいます。やっている人を非難するものではありません。「アイスバケツチャレンジの手法」が問題だということ。
    個人攻撃だと、誤解なされないように…。

危険な「氷水かぶり」が続々と

海外ではビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグ。日本でも孫正義氏や山中伸弥教授などが行い、ネットを超えて社会的な注目を浴びている、アイスバケツチャレンジ。

治療法が確立されていない難病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)へのチャリティを目的としたもので、指名(チャレンジ)を受けた人は24時間以内に100ドルを寄付するか、氷の入った水をかぶってそれをシェアするかを選択しなくてはなりません。次にチャレンジする3人を指名する必要もあり、急速に広がっていきます。

広がる「アイスバケツチャレンジ」とは何か? 難病へのチャリティに有名人たちが氷水をかぶる(2)より

要するにソーシャルメディアとYouTube動画を使った「不幸の手紙方式」のキャンペーン。その仕組と、著名人が実施することもあって、日本国内でも急速に広がっています。
(ちなみに3人を指名するを、17周繰り返すと、日本の人口を超えます)

そんな中で、海外のアイスバケツチャレンジの失敗を集めた動画がアップされていますが、かなり危険なものが多いです。

https://www.youtube.com/watch?v=wCisNA4Wbw0

手を滑らせてのバケツごと落下や、巨大な水入りクーラーボックスを抱えての転倒。
水10L入っていれば、それだけで10kg。30Lなら30kg。そんな物体が、ヘルメットも被らず頭上に降ってきたら、怪我は当たり前。運悪ければ、死亡者も出ます。

拡がれば過激化する

こういった、氷水かぶりが一部で「過激化」するのは当然の流れです。

  1. 指名が回ってきたけど、今や誰もがやっている「普通に氷水をかぶる」のは面白くない。ウケる事をやりたい
  2. 巨大な氷水など、インパクト重視のチャレンジを実行。ノリでやっているので、安全性を度外視
  3. 当然、事故も発生する。怪我人は勿論、打ちどころが悪ければ重体・死亡もある

動画を見ていると、若者に過激化する傾向が多い。
また、コミュニティの立場として上の者が、下の者を指名した上で、更に「面白いチャレンジ」を半ば強要する行為も、若者世代のコミュニティで懸念される事項です。

安全なアイスバケツチャレンジをするには

安全性を保ったままで、アイスバケツチャレンジが広がれば良い。まず、その為には、実施者は指名時に、下記のような事項を伝えなければなりません。

  • 水は2・3L程度。氷も控えめにして、万が一でも怪我の無い分量にすること
  • 事故防止の為、高低差の無い所から、氷水をかぶせること
  • 安全の為、ヘルメットを着用すること
  • 心臓麻痺予防のため、充分に準備体操後に氷水をかぶること。また、心臓が弱い人は、絶対にチャレンジは辞退すること
  • 万が一の為、AEDを準備すると共に、事故発生時には、医療機関への対応が可能な体制を整えて実施すること

安全性の確保には、ここまで伝えるべき。しかし、こんな事を書いて指名したら、やる人は激減するでしょう。

また、ここまで書いても、説明を読まずにやってしまう人がいますから、事故は防げないでしょう。

チェーンメールは基本NG

アイスバケツチャレンジの最大の問題は、テーマは良しとしても、誰も管理せず、勝手に拡がるチェーンメール方式に、安全性が確保できない”行動喚起”を盛り込んだことです。

ソーシャルメディアで拡がる程に、人の行動は過激化する。その点を踏まえて、拡がっても、問題が起きない内容を、熟慮した上でのキャンペーン内容が必要。

実際、ブログを書いている途中に、アメリカでアイスバケツチャレンジによる事故が発生してしまったようです(「氷水バケツ」で消防士が重体 米

良いことだと拡がっても、大きな事故が起こってしまえば、キャンペーンは大失敗です。
その点は、日本ALS協会さんも、きちんとチャレンジにあたっての注意を啓蒙しておかないと、危ういと思います。

今回のアイスバケツチャレンジの一見の「成功」を見て、同様のキャンペーンを考える団体が増えると予想されますが、加速度的に拡がり、コントロール不可になるチェーンメール方式は、よほど上手に展開しなければ、逆に社会問題を起こしかねません。

というか、基本的に指名する形のチェーンメール方式は採用せずに、参加者が自発的に参加したくなる、魅力あるキャンペーンを考える事をお勧めする次第です。