実は小さいお店だから良い
名古屋でFacebook活用で昨年対比4割アップのケーキ店として著名なパティスリーリュンヌと、ソーシャルパテシエの木村大志店長。
2カ月に1回の開催ながら、毎回、満員になる人気のリュンヌのFacebookイベントが新作スイーツ発表会です。 このイベントは、客席数23席という小さな店内で行われるのですが、実はこのコンパクトさが、イベントが成功してきた秘密であることに、気づきました。
そもそも、ビジネスにおいてイベント企画とは、それを行うことが目的でなく、イベントを通じて、一人でも多くのお客さまと信頼関係を構築し、最終的に商品やサービスを購入して頂くことです。
その点からみて、Facebookイベントの場合は、集客に力を入れて、大人数イベント行うことが、必ずしも成功とは言えないのです。
イベント後のフォローは難しい
まず、Facebook以前のイベント企画について考えてみます。これまでに、各業種で様々なイベントが行われています。しかし、従来のイベントは、開催した後の購入に繋げるための顧客のフォローアップが大変でした。
実際、今までに、イベント後にできるのは、下記のような手法になります。
- 電話で直接お礼
-フォローアップとして強力だが、電話を嫌がる人も多い。2回目以降は、電話をかける口実が必要 - メールで直接お礼
-手間は掛かるが、ある程度、返信はしてくれる。しかし、2回目以降はメールを書く口実が必要 - はがきで直接お礼
-とても手間は掛かるが掛かるが、お客様には好印象。しかし、返信は少ない。また2回目以降はメールを書く口実が必要 - ブログでイベント報告
-参加者の何割かは読んでくれ、コメントをくれる場合もあるが、大半はブログに目を通していない - はがきDM
-読まれてはいる筈だが、殆ど返信が無い為、反応が分からない - メールマガジン
-殆ど返信が無く、内容を読まれているかどうかも、わからない
これらのフォローアップの手法を、手間や費用などの項目ごとに分析した票は下記のとおり。
これを見て分かるのは、イベントに参加した後、顧客を完全にフォローアップする手法は無かったという、現実です。
しかし、Facebookイベントであれば、一度、会って話をして面識を持ち、その後に、Facebookで友達関係を結んで、毎日のようにきちんと交流して関係性を深められますよね。つまり、上記の比較表に直すと、こうなります。
Facebookは、多少の手間は掛かる以外、他の媒体と比べても効果性の高いツールであることが一目瞭然です。
Facebookイベントは集客より交流
Facebook以前のイベントは、その後のフォローアップ手法に歩留まりの悪さがあった為、集客数を上げて、母数を大きくすることで、有効な見込み顧客数を獲得する形になりました。
つまり、10人よりも 100人。100 人よりも1000人の集客をした上で、少数は得るが、大半は取りこぼすのは仕方がない、という考え方です。
しかし、Facebookイベントの場合は、その場で会って話をして、きちんと面識を持つことが、何よりも大切になります。
例えば、一度のFacebookイベントに、ワッと100人が集まったとしても、その100人の全員と、きちんと話をすることは難しいでしょう。
もし、100人のイベントであれば、100人全員と薄っぺらい名刺交換をすることを目指すよりも、1人でも多く、自分の顧客対象と合致する人と、しっかり話をして、その後のFacebook上の交流に繋げることが大切になります。
その点で、リュンヌの23人で満席という席数は、存分に参加者全員と話が出来る範囲内に収まっています。よって、木村店長は、毎回のイベントできちんと参加者と交流し、その後にfacebookで友達となって、アフターフォローができる。すると信頼関係が構築されるので、次回のイベントにも来てくれるし、家族の誕生日があれば、リュンヌにケーキを買いに来てくれるようになるのです。
目的はイベントの後ろにある
Facebookイベントというと、どうしてもイベントの集客数や、イベントが盛況に終わることに目的を置いてしまいますが、それは違います。具体的には、下記の2点を満たさなければいけません。
- 顧客対象に参加して貰い、きちんと満足して帰って頂くこと。
- イベント時には、顧客対象の全員としっかり話をして、次のFacebook交流のステップにつなげる
最初から、イベント後を目的として見据えた上で、それが達成できるイベント企画を、きちんと練り上げることが肝要であり、参加者数やイベント規模は、重要ではありません。
リュンヌの木村店長の場合、新作スイーツ発表会の目的は「リュンヌを大切にしてくれるお客様への利益の還元と、感謝の気持ちを表すこと」であり、それが23名の小さなお店の規模と相まって、イベントを繰り返すごとに、信頼構築の好循環が生まれるという形になりました。
もしあなたが、Facebookイベントを考えているのであれば、そのイベントを通して、「誰」と「どのように」に繋がりたいのか、イベント後の目的が最重要。
目的を設定した上で、イベントで顧客に「何を与える」のか、しっかりと考えて企画を立ててください。
今回のまとめ イベント後に繋がるイメージを描きながらイベントを立てる