名古屋 セミナー講師報告、初心者向けAI時代の情報セキュリティ講座で講演

取引先から「今回だけ、振込先を変えてほしい」と連絡が来る。文面には、いま進めている取引のことまで書かれている。こんなとき、どこで相手に確認しますか。

2026年11月6日、愛知県名古屋市中村区で開かれた「AI経営ビジネスサミット 第21回 名古屋本会」で、初心者向けにAI時代の情報セキュリティをお話ししました。株式会社はちえん。代表取締役の坂田誠です。当日は総勢24人が参加しました。

講演で特に強調したのは、「いつもと違う」と「金銭の請求」が重なったら、まずネット詐欺を疑うことです。支払いを保留し、以前から使っている連絡先で確認する。この一手を日頃から決めておくことが、個人にも会社にも必要です。

第21回 名古屋本会の開催概要

開催名 AI経営ビジネスサミット 第21回 名古屋本会
開催日時 2026年11月6日(金)19:00〜21:00(開催要項)
会場 リンクス名駅12階(愛知県名古屋市中村区名駅5丁目31番10号)
対象 経営者・個人事業主。AI初心者も参加可
参加者 総勢24人(当日の講師記録)
基調講演 AI時代の情報セキュリティ対策。中小企業の守り方を30の場面で解説
講師 坂田誠(株式会社はちえん。代表取締役)
共催・運営 共催は株式会社はちえん。とリバイバルビジョン株式会社。運営はリバイバルビジョン株式会社

開催日時・会場・対象などは公式要項に基づきます。 第21回 名古屋本会の開催要項

第21回名古屋本会で情報セキュリティのスライドを映し、参加者の前に立つ坂田誠
2026年11月6日の名古屋本会。身近な情報セキュリティの事例を、イラスト入りの資料で取り上げました。

AI経営ビジネスサミットと名古屋本会

AI経営ビジネスサミットは、AIによる社会や業界の変化を、自社の経営判断に結びつけるための経営者コミュニティです。名古屋と大阪で本会を開き、テーマ別の分科会も設けています。 AI経営ビジネスサミットの公式概要

本会では、私が監修する基調講演を軸に、会員の実践事例や参加者同士の交流から、自社で取り組むことの優先順位を考えます。第21回の名古屋本会では、AIを使う会社が普段の業務でどんな場面に気をつけ、誰がどう判断するかを、基調講演で取り上げました。 本会の内容と位置づけ

数年前から変わった情報セキュリティの前提

数年前と比べて、警戒すべき場面は大きく変わりました。サイトの見た目やメールの文面に加えて、AIで顔や声まで本人らしく見せられます。取引先との本物のやり取りに、偽の振込先の連絡が紛れ込む場合もあります。

同時に、仕事のメール、顧客台帳、請求書、銀行口座など、守るものがネットにつながっています。たとえば会社のメールが乗っ取られると、過去のやり取りを読まれ、その内容を使って取引先に偽の請求を送られるおそれがあります。一つの判断ミスが、情報漏えいや不正送金、取引先への被害にまで広がり得る。これが、経営者にまず意識していただきたかった変化です。

ネット詐欺を疑う二つのサインと確認の手順

  • いつもと違う。 振込先が急に変わる、新しいLINEグループに呼ばれる、普段と違う経路で支払いを急がされる。
  • 金銭の請求がある。 振込、決済、立替払いなど、お金を動かすよう求められる。

二つがそろったら、相手が取引先や上司に見えても、送金や決済を保留します。振込先変更なら、社内の取引先台帳などで以前から登録している電話番号を確認し、相手に直接電話します。変更の事実と口座情報を確認できたら、内容を記録し、社内の通常の承認を経て処理します。IPAも、急な振込先変更はメールとは別の手段で確認するよう案内しています。 IPAのビジネスメール詐欺FAQ

振込先変更時の確認手順を映した画面を指し示す坂田誠と、着席して聞く参加者
基調講演で、振込先が変わったときに使う確認手順を説明している場面です。

講演で扱った情報セキュリティの30事例

講演資料「緊急解説! 経営者が知らねば危うい、間違いだらけのAI時代のセキュリティ対策」では、まずイラストで身近な場面を見せ、どこに危険があるか、どう対応するかを一つずつ整理しました。日常の判断に使えるよう、個人としても30事例すべてを、場面と対処の組み合わせで覚えてほしいとお伝えしました。

1〜6 偽サイトや不正な操作への誘導

  1. 口座の通知メールが来たら、登録済みの公式ページや公式アプリを自分で開いて確かめる。
  2. 検索広告からの誘導に備え、よく使うサービスは公式サイトをブックマークして開く。
  3. 心当たりのない見積書の添付でマクロの有効化を求められたら、添付を閉じ、公式窓口や登録済みの番号で送付の事実を確かめる。
  4. 感染警告と遠隔操作の要求が出たら、画面を閉じ、契約済みの保守窓口や社内の担当者へ連絡する。
  5. 確認画面が文字列の貼り付けや実行を要求してきたら、操作を止めてページを閉じる。実行済みなら端末の通信を切り、保守窓口に連絡する。
  6. 本物に似せたアプリを避けるため、提供元の公式配布先や会社の配布窓口を使う。

7〜9 なりすましと送金

  1. 取引先名義の振込先変更は、登録済みの番号に電話し、変更内容を社内で承認する。
  2. 社長を名乗るLINEでの送金指示は、普段の電話番号で本人に確認し、承認まで振込を保留する。
  3. 上司の顔や声に似せたビデオ会議での送金依頼は、会議を離れて登録済みの番号にかけ、送金先と金額を通常の決裁で確認する。

10〜15 アカウントと権限

  1. パスワードの使い回しを見直し、サービスごとに異なる長いパスワードを使う。
  2. 複数人で同じIDを利用しているときは、個人IDを発行し、必要な人に共有の権限を付ける。
  3. 会社メールへの不正ログインに備え、対応するサービスではパスキーを設定し、利用できない場合は認証アプリなどで多要素認証を設定する。
  4. 管理者権限の配り過ぎを防ぎ、設定を担当する人に必要な範囲で付与する。
  5. 退職・契約終了の日に、アカウントを停止し、ログインや共有の権限を解除する。
  6. メールを読み書きできる連携アプリは、提供元と求められる権限を確かめ、会社が認めたものに絞る。
退職・契約終了時のアクセス停止について話す坂田誠と、会場後方から見た参加者席
アカウントと権限をテーマにした講演場面。退職や契約終了に合わせたアクセス管理も扱いました。

16〜21 Webサイト・機器・委託先の管理

  1. 公開中のWordPressは、更新と点検を続ける担当者と実施日を決める。
  2. WordPressの追加機能も点検し、本体に加えてプラグインやテーマへ必要な更新を適用する。
  3. Web制作を外注するときは、更新、バックアップ、緊急対応を誰が担うか契約時に確かめる。
  4. パソコンなどの端末は、更新と再起動の時間を業務予定に入れる。
  5. 社外からつなぐVPN機器は、型番と保守担当を把握し、修正情報やサポート期限を確認し、提供された修正を適用する。
  6. 委託先に渡したデータは、預けた項目、保存期間、連絡先を台帳に残す。

22〜26 データの共有と生成AI

  1. 顧客資料のクラウド共有では公開リンクを無効にして相手を指定し、用が済んだら権限を外す。
  2. 業務資料の保存や送付は会社が承認したメールとクラウドを使う。
  3. 外部の生成AIへの入力は、会社が認めたツールと入力できる情報を確認し、集計済みの数字など作業に必要な範囲に絞る。
  4. AIで作った顧客管理ツールは、架空データで未ログイン時や別の利用者の表示を試し、専門担当者が認証と閲覧権限を点検してから公開する。
  5. AIに渡す業務の操作権限は閲覧や下書きに絞り、送信・公開・削除は人が確認して行う。

27〜30 事故対応と業務継続

  1. 不審なログインや大量ダウンロードに気づけるよう、クラウドの異常通知の受け取り先を決め、操作履歴を確認する。
  2. 感染が疑わしいパソコンは社内手順に沿ってネットワークから切り離し、別の端末で担当者に連絡する。
  3. クラウドで同期するファイルも、普段のIDで書き換えられない場所にコピーを持ち、実際に復元できるか試す。
  4. 緊急連絡先は、メールが止まっても取り出せるようにし、電話などで連絡や受注を続ける手順を確かめる。

講演のテーマを、職場の場面に沿って振り返れる教材も用意しています。 漫画でわかるAI時代の企業セキュリティ・リテラシー

中小企業のセキュリティ対策には、担当者と予算が要る

社内で振込先の確認をルールにしても、経理担当者が休んだ日に誰が代わるかを決めていなければ、運用は止まります。Webサイトの保守も、契約に含まれると思っていた作業が抜けると、更新が後回しになります。経営者がセキュリティへの向き合い方を改め、以前よりも手厚く人と予算を割く必要があるとお伝えしたのは、こうした理由からです。

  • 守る業務を決める。 顧客情報、社内メール、入出金、受発注のうち、漏れたり止まったりしたときの影響が大きいものを洗い出します。
  • 担当と代役を決める。 日々の確認、事故時の連絡、支払いの承認を誰が担うか。外部に保守を頼む場合も、自社で判断する人を明確にします。
  • 続ける費用と時間を確保する。 端末やWebサイトの保守、バックアップ、社員教育、復元テストなどを計画に入れ、実施を確認します。

対策の優先順位や社内体制を整理するときは、自社の規模に合わせて取り組みを確認できる資料があります。 IPA「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」

まず、経理を担当する方と、振込先が変わったときに「誰が、どの番号に電話し、誰が承認するか」を決めてみてください。講演の場を一緒につくってくださった参加者の皆さん、運営の皆さん、ありがとうございました。

名古屋本会の会場でカメラに向く坂田誠と参加者
AI経営ビジネスサミット 第21回 名古屋本会の集合写真。

講師・執筆者 坂田誠

株式会社はちえん。代表取締役。中小企業や個人事業主に、Web・SNS・生成AIを実務に取り入れる方法を指導しています。SNS・IT・生成AIなどをテーマにしたセミナーの登壇は2010年から全国で1,400本以上です。 坂田誠の公式プロフィール・講師実績

2024年には、CBCテレビのAIフェイク動画に関する取材に協力し、本人の声や口の動きを再現できる技術についてお話ししました。 CBCの取材記事

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株式会社はちえん。代表取締役・講師 坂田誠

この記事の著者坂田誠

株式会社はちえん。代表取締役。中小企業の生成AI活用・SNSマーケティングを支援する講師・コンサルタント。人材会社の株式会社ヒューマネットで、営業、採用・人事、経理・総務、Web集客など幅広い実務を経験。自社のホームページ集客で培った知識を経営者向けの勉強会で伝え、2010年にはちえん。を設立しました。

全国の商工会議所・商工会・行政・企業などで登壇し、2010年以降、SNS・IT・生成AIなどをテーマにしたセミナー講師実績は累計1,400本以上。共著に『Facebookマーケティング プロフェッショナルガイド』(マイナビ)があり、NHKニュースやTBS「news23」などでAIに関する取材・出演実績もあります。

2022年から生成AIの活用を深め、現在はAI社員・AIエージェントを含む業務設計や導入を支援。AIに任せる作業と人が確認する工程を整理し、情報管理や最終判断の責任にも配慮しています。経営者と現場の双方の視点から、専門用語をかみくだき、集客・採用・業務改善に使える具体的な方法を伝えることを大切にしています。

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