AIに計画と分析を任せ、人は顧客に向き合い、現場で実行する。今回のセミナーでお伝えした「AIソロプレイヤー」は、この役割分担から経営を前へ進める考え方です。
2026年9月4日(金)、名古屋市のモティベーション大学で開催された第19回名古屋AI経営ビジネスサミットにて、株式会社はちえん。代表取締役の坂田誠が基調講演の講師を務めました。テーマは「AIが考える。人が現場で勝つ。――AIソロプレイヤーという新しい経営のかたち」です。
AIの便利な使い方を増やす前に、経営者が何を決め、何を実行するべきか。中小企業の経営者・経営幹部・後継者の皆さんに向けて、計画を今日の行動へ変える方法をお話ししました。ここからは講師の私から、当日の内容と実務に生かせるポイントをご報告します。
第19回名古屋AI経営ビジネスサミットの開催概要
| 開催日 | 2026年9月4日(金)19:00~21:00 |
|---|---|
| 開催名 | 第19回名古屋AI経営ビジネスサミット |
| 会場 | モティベーション大学(名古屋市) |
| 講演テーマ | AIが考える。人が現場で勝つ。――AIソロプレイヤーという新しい経営のかたち |
| 講師 | 株式会社はちえん。代表取締役 坂田誠 |
| 対象 | 30名の名古屋地区の中小企業の経営者・経営幹部・後継者 |
| 企画・運営 | AI経営ビジネスサミット事務局 |
名古屋AI経営ビジネスサミットは、中小企業の経営者などがAIの活用事例を学び、自社の経営に生かすためのコミュニティです。モティベーション大学を会場とし、AI経営ビジネスサミット事務局が企画・運営を担当しています。公式サイトの活動紹介では、講演や事例共有を行う本会、戦略を具体化する分科会、実務に必要なスキルを学ぶAIスクールを案内。AIの操作だけでなく、経営判断から実践までを学ぶ場として展開されています。

AI活用から経営を考え始めない
最初にお伝えしたのは、AI活用を経営の出発点に置かない、ということです。まず社会や業界の変化を見通し、自社がどう進むかを考える。その戦略を実現する手段として、AIを使います。
「このAIで何ができるか」だけを追っていると、作れるものは増えても、誰に何を届けるかが曖昧なままになります。経営者が先に決めたいのは、自社のお客様にどんな価値を提供するのか、どの課題から取り組むのかです。
AIに任せる仕事を決めるときも同じです。文章を作る、数字を整理する、計画案を比較する。その作業が、現場のどんな行動につながるのかまで考えることを重視しました。
AIソロプレナーとAIソロプレイヤーの違い
講義では「一人+AI」の経営を、二つのモデルに分けて整理しました。ここでの区分は、今回の講義で説明した考え方です。
| 比較する点 | AIソロプレナー | AIソロプレイヤー |
|---|---|---|
| 出発点 | 経験・顧客理解・商売勘を生かす | 次に何をするか迷う段階から始める |
| AIの使い方 | 商品・価格・販路の試行を速める | 計画・実行・記録・改善を仕組みにする |
| 人が担うこと | 商機を見つけ、試し、継続や撤退を決める | 計画を確認し、顧客対応と具体的な行動を進める |
| 育てる力 | 経験を生かして事業の展開を広げる力 | 実行と記録から判断材料を蓄積する力 |
すでにお客様の困りごとや売れる理由をつかんでいる人は、AIによって試行の速度を上げられます。一方、何から手をつけるか決められないなら、まずAIと一緒に行動を具体化するところから始めればよいのです。
どちらが優れているかではなく、いまの自分の経験と事業の段階に合う始め方を選ぶ。AIソロプレイヤーとして実行と記録を続けることは、顧客理解や商売勘を育てる過程にもなります。
AIには「どうすれば売れる?」より、現状の事実を渡す
AIに漠然と相談するだけでは、もっともらしい施策が並びがちです。講義で重視したのは、売上・利益・固定費・商品価格・顧客数・使える時間・予算・受け入れ可能な枠数など、事業の条件を渡すことでした。
そのうえで、全体目標、商品と価格、顧客構成、集客と再来、稼働、資金、リスク、KGI・KPI・KAという八つの計画をつなげます。売上だけ増えても、利益が残らない、予約を受けきれない、品質が落ちる計画では続きません。
一人サロンの仮想事例で、目標の実現可能性を検証
スライドでは、月商60万円から80万円を目指す一人サロンを例にしました。客単価1万円、現在60枠、最大80枠なら、空き20枠を埋めると計算上は20万円の上積みになります。ここで終わらず、週に使える時間や広告予算、提供品質も合わせて検討します。
全枠を埋める案と、追加客数を抑えながら高単価メニューを試す案では、必要な仕事もリスクも異なります。AIに複数案を出させ、人が需要や現場の負担を確かめて選ぶ。この比較が経営判断につながります。
サロンの金額・予約数は、計画の考え方を説明するための仮想事例です。実在店舗や今回の受講者の成果を示すものではありません。
KGI・KPI・KAを「今日10時の行動」まで落とす
計画を作るだけで終わらせないために、最終成果と途中の数字、具体的な行動を分けて考えました。
- KGI:最終的に目指す成果。売上や利益など、何を実現するか。
- KPI:途中で確認する数字。返信率や予約率など、どこで進み、どこで止まっているか。
- KA:成果を生む具体的な行動。誰に、何を、何件、いつするか。
たとえば「営業を頑張る」では、忙しい日の予定に入りません。「今日10時に休眠客10名へ連絡する」まで決めれば、着手する時間と対象がはっきりします。これは行動の具体化を説明する例であり、当日の参加者へ一律に課したノルマではありません。
当日は、休眠客への案内、次回予約の提案、紹介依頼、Googleへの投稿などを、数字で比較できる行動へ変える流れを紹介しました。予約件数だけでなく、何件提案できたかを残すことで、実行の不足なのか、伝え方の課題なのかを考えやすくなります。
毎日3分の記録と、週15分のAIとの振り返り
行動した後は、結果をAIへ返します。記録するのは、行動、件数、反応、顧客の言葉、次の一手。長い日報を書くことより、次の判断に使える事実を残すことを大切にしました。
たとえば連絡数・返信数・予約数を分けておくと、返事が来ないのか、返事の後に予約へ進まないのかが見えます。結果が悪かったときにも、自分の能力や気合いの問題にせず、行動や案内の流れを見直す材料になります。
週に一度、15分だけでも、AIと次の順番で振り返ります。
- 計画と実績の差を数字で確認する。
- 詰まっている場所を一つ選び、原因の仮説を出す。
- 次週の行動を三つ程度に絞る。
- 続けること、変えること、止めることを決める。
一度に価格も文章も写真も変えると、何が反応に影響したのか分かりにくくなります。小さく一つ試し、記録して比べる。うまくいかなかった試みも、次の判断材料に変えられます。AIへ渡す記録は匿名化し、顧客の氏名・連絡先などをそのまま入力しないことも、講義資料で示しました。
真剣に受講いただいた皆さんへ

今回も、皆さんに真剣にご受講いただきました。ご参加くださった皆さん、開催を支えてくださった事務局の皆さん、ありがとうございました。
私が今回お伝えしたかったのは、AIの答えを増やすこと以上に、現場で一つ動ける状態をつくることです。計画と分析の負担を軽くし、経営者が「決める・実行する・顧客に向き合う」時間を取り戻す。そのための役割分担がAIソロプレイヤーの中心にあります。
今日から始める三つのこと
- 現状を一枚にする。売上・顧客数・使える時間・予算などを、推測と実績を分けて整理する。
- 最初の行動を決める。AIと一緒に「誰へ、何を、何件、いつするか」を具体化し、一件実行する。
- 結果を残す。毎日3分の記録と、週15分の振り返りを予定に入れる。
いきなり多くの施策を始める必要はありません。自分の商売に置き換えて、まず一つ。お客様の反応を確かめながら、次の一手を決めてみてください。
講義の内容から整理した、よくある疑問
経営経験が浅くてもAIソロプレイヤーを始められますか?
経験が浅い段階から、実行と記録を仕組みにする考え方です。現状の数字と制約を整理し、自分が確かめられる小さな行動から始めます。AIの提案は、実行可能かを人が確認して採用します。
AIに経営計画を作らせたら、そのまま任せてよいですか?
計画の整理や比較は任せられますが、入力した数字の正確さ、顧客への約束、実行の可否、最終判断は経営者が担います。現場で起きた結果を戻し、計画を修正するところまでが一連の運用です。
講師紹介・参照資料
坂田誠|株式会社はちえん。代表取締役
中小企業向けにSNS・生成AIの実務活用を支援。営業や会社運営、Web集客に携わった経験をもとに、現場で実行できる方法を伝えています。2010年から全国1,400本以上のセミナー講師実績。会社の事業・活動については株式会社はちえん。会社案内をご覧ください。
本記事は、講師による当日の報告記録、セミナー資料「AIソロプレナー_vs_AIソロプレイヤー_セミナー」(47ページ)、開催写真、上記の公式開催案内・活動紹介を基に作成しました。講演内容・日時は2026年9月4日時点、Web情報の確認日は2026年9月17日です。
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