経営に効くAIを選ぶ基準は、自社の課題を整理し、利益につながる具体的な行動まで進められるかどうかです。
2026年9月9日、那覇市で開催されたSSゼミ沖縄・第14期・第2回「経営に効くAI、効かないAI 本当の選び方と使い方」で講師を務めました。株式会社はちえん。代表取締役の坂田誠です。当日の最終受講者は26名。沖縄県の中小企業の経営者・幹部の皆さまに、ChatGPTを経営分析や事業計画、月次目標、行動計画へ生かす方法を実演しました。
今回お伝えしたかったのは、AIに質問できることから、AIと一緒に会社を動かすことへ進んでほしい、という点です。使用したスライドのテーマも「知っているAIから、会社を動かすAIへ」。その内容と当日の反応を、講師の視点で振り返ります。
SSゼミ沖縄・第14期・第2回の開催概要
| 講座名 | SSゼミ沖縄・14期・第2回 経営に効くAI、効かないAI 本当の選び方と使い方 |
|---|---|
| 開催日時 | 2026年9月9日(水)18:00~20:00 |
| 講師 | 坂田誠(株式会社はちえん。代表取締役) |
| 受講者 | 26名(当日の最終人数) |
| 対象 | 沖縄県の中小企業経営者・幹部 |
| 使用資料 | 「知っているAIから、会社を動かすAIへ」 |
講座の正式名称と日時は、スモールサンの開催案内で確認できます。参加人数と以下の実演・受講者の反応は、私の当日報告に基づきます。

主催のスモールサンと「SSゼミ沖縄」とは
スモールサン(Small Sun)は、株式会社中小企業サポートネットワークが運営する、中小企業経営者の学びと経営を支えるネットワークです。経営に必要な情報の提供、専門家とのつながり、勉強会や企業相談などを通じて、経営者の「読む力・問う力・つなぐ力」の向上を支援しています。
スモールサン・ゼミ(SSゼミ)は、各地域で定期開催される会員向けの勉強会です。参加メンバー自身も運営に携わり、専門家や経営者仲間とともに、さまざまな経営課題を継続して学ぶ場となっています。今回登壇したSSゼミ沖縄は、その沖縄地域のゼミです。
約9割がChatGPTを時々使う一方、AIエージェントはこれから
会場でのやり取りからは、受講者のほぼ9割がChatGPTを時々使っている一方、AIエージェントはまだ使っていない、という印象でした。これは厳密なアンケート集計ではなく、講師として把握したおおよその利用状況です。
すでにAIを触っている方に、質問の仕方だけをお伝えしても、その先の経営は動きません。今回の出発点は、皆さまが使い始めているChatGPTを、会社の課題と日々の判断にどう結び付けるかでした。
文章を整える、資料を作るといった活用も役立ちます。そのうえで社長には、どの市場を狙うか、何の商品を伸ばすか、限られた人員と時間をどこへ使うかという、経営の中心にAIを持ち込んでほしいとお話ししました。
ChatGPTで経営分析から事業計画・月次目標・行動計画まで実演
当日は、GPT-6 Astra(アストラ)などを使い、経営分析や事業計画、月次目標、行動計画の立案を実演しました。AIが答えを返す様子に加え、その答えを経営者の次の行動へつなげることを重視しました。
講義と実演の要点を、経営の流れで整理すると次のようになります。
1.会社の現状を整理し、先に取り組む課題を絞る
AIへ渡す材料になるのは、会社概要、商品・サービス、顧客像、営業や集客の現状、数字、これまで試した施策です。スライドでは、社長の頭の中にある自社情報を言葉にして共有することを取り上げました。
「売上を伸ばす方法を教えて」だけでは、自社で実行できる案か判断しにくくなります。何に困り、何ができて、何が足りないのかを整理する。その対話にAIを使うことが、経営分析の入口です。
2.事業計画を月次目標へつなげる
事業計画は、きれいな資料にして終わりではありません。目指す状態と現状の差を見て、今月は何を進めるのかを決める必要があります。
AIには、計画のたたき台を作ることに加え、複数の案を比較したり、抜けている前提を洗い出したりする役割を担わせられます。経営者は、その案が自社の顧客や現場に合うかを確認し、優先順位を決めます。
3.「誰が、いつ、何をするか」まで具体化する
月次目標が決まったら、行動計画へ落とし込みます。営業、集客、顧客へのフォローなど、目的に合った仕事を具体化し、担当と期限を決める。ここまで進んで初めて、AIが作った計画が現場の行動につながります。
今あるChatGPTからでも、利益を上げるための施策を考え、実行に向けて具体化することは始められる。その可能性を、実演を通してお伝えしました。もちろん、計画の作成だけで利益が増えるわけではありません。実行し、結果を確かめ、次の改善へ戻すところまでが経営です。
経営に効くAIと効かないAIを分ける、使い方の基準
今回のテーマに対する私の答えは、「有名なAIを選べばよい」ではありません。自社の目的と情報を渡し、判断と実行に使える形まで一緒に進められるか。それが大切です。
| 見るポイント | 経営に生かす使い方 | 成果につながりにくい使い方 |
|---|---|---|
| 目的 | 解決したい自社の課題を置く | 新機能を試すことだけが目的になる |
| 情報 | 顧客・商品・数字・制約を伝える | 自社情報が少なく、一般論で終わる |
| 出力 | 比較・判断・行動に使える案にする | 立派な文章や資料が完成して終わる |
| 実行 | 担当・期限を決め、結果から改善する | 提案を読んだだけで動かない |
同じAIでも、使い方によって経営への効き方は変わります。プロンプトの工夫は、そのための手段です。社長が学ぶべき中心は、自社の現状を捉え、何を変えるかを決め、実行を続ける方法だと考えています。
AIエージェントを使うときも、人が目的と最終判断を担う
スライドでは、AIエージェントを「目的に向けて手順を考え、ツールを使いながら複数の作業を連続して進めるAI」と説明しました。一つの質問への回答を受け取るだけでなく、一連の仕事を任せていく考え方です。
たとえば、情報を調べ、比較し、整理して、計画のたたき台を作る。こうした仕事のつながりをAIに支援させることで、経営者が検討と判断に使える材料を増やせます。
一方、何を目指すか、何を大切にするか、どの案を採用するかは人の役割です。資料でも、人間は目的・優先順位・最終判断と責任を持ち、AIは情報整理・分析・計画作成などを進める、という分担を示しました。
自社情報を渡す際には、個人情報や機密情報をむやみに入力しないこと、数字や固有名詞を確かめること、AIの出力をそのまま外部へ出さないことも、運用の前提としてお伝えしています。
社長のためのAIの学び方として評価をいただきました

受講者からは、プロンプトや資料の作り方、質問方法を中心とする学びに比べ、今回は具体的に経営に生かす社長のためのAIの学び方としてよかった、という趣旨の評価をいただきました。
これはいただいた感想の要旨であり、アンケートの満足度や受講者全員の意見を示すものではありません。それでも、今回の講義で重視した「経営をどう動かすか」という視点を受け止めていただけたことは、講師としてうれしく思います。
AIを使えるようになることの先に、会社の行動が変わることがある。そこを扱う学びが、経営者には必要なのだと改めて感じました。
明日から始めるなら、AIに任せる仕事を一つ決める
資料の最後には、明日からAIに任せる仕事を一つ決めるワークを用意しました。最初から会社全体を自動化しようとするよりも、具体的な一業務で試し、使える経験を積み重ねることが大切です。
- 任せる仕事:経営課題の整理、営業の優先順位、企画の比較など、一つ選ぶ。
- 現状と目的:何に時間がかかり、どんな状態にしたいのかを書く。
- 渡す情報:商品、顧客、数字、制約、過去の施策を、共有できる範囲で整理する。
- 試す日と担当:誰が、いつ試すかを決める。
- 見直し:出力を確認して実行し、結果を次の相談に戻す。
完璧な問いを用意する必要はありません。まず会社の今を言葉にすることから始められます。「誰に売るか」「何を売るか」「どう動くか」。経営の基本をAIとの対話で具体化し、現場で試してください。
中小企業のAI経営活用についてのFAQ
AIを経営に生かすには、プロンプトを先に覚えるべきですか?
基本的な指示の仕方は役立ちますが、それだけを先に覚える必要はありません。自社の現状、目標、顧客、商品、困りごとを整理し、AIと対話しながら改善案を具体化することから始められます。
AIエージェント未経験でも取り組めますか?
はい。まずは使っているChatGPTで、一つの仕事の整理や計画づくりを試すところから始められます。一連の作業を任せる段階では、使う機能、必要な情報、人が確認する場面を決めて進めます。
AIに事業計画を作らせれば、利益は上がりますか?
計画を作るだけでは利益は上がりません。自社に合う案を選び、月次目標と行動計画に落とし、実行結果を確認して改善する必要があります。AIは、その整理と検討を支える存在です。
講師・執筆者:坂田誠
坂田誠(株式会社はちえん。代表取締役)。中小企業向けに、生成AIやSNSを活用した販促・経営支援、セミナー、研修を行っています。本記事は講師本人の当日報告、使用スライド、開催写真、主催者の公式案内をもとにまとめました。
SSゼミ沖縄の皆さま、今回の機会をいただき、ありがとうございました。
経営者自身がAIを使い、判断と実行の質を上げる。私は、これからの経営では、その変化に取り組む必要があると考えています。「知っているAI」を「会社を動かすAI」へ変える学びを、引き続きお届けしていきます。
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